日本の踊りと扇子
扇子(オリジナル扇子)の使い道のひとつとして欠かせないものに、『踊り』があります。日本各地で受け継がれてきている踊りの中には、扇子(オリジナル扇子)を使ったものも多数存在しています。その多くは、『扇子踊り』と呼ばれています。どの地域の踊りも、数百年にわたる歴史を持ち、その地域で親から子へ、子から孫へと引き継がれてきたすばらしい舞です。そのルーツを見てみると、やはり「踊り」そのもののルーツである「供養・奉納」に行き着きます。そこでここでは、全国に点在する「扇子踊り」の中から、いくつかを紹介させていただきます。
1.津久見扇子踊り(大分県津久見市)
大分県の中部エリア、津久見市の夏の風物詩は「津久見市民扇子踊り大会」です。この扇子踊りは、約450年もの歴史のある伝統芸能で、毎年8月下旬に、約1000人の踊り子が舞い踊る津久見市の最大のイベントのひとつです。
この扇子踊りのルーツは、津久見が九州の有力大名「大友氏」の支配下にあった時代に、戦没した勇士や農民を供養するために、京舞いの流れをくむ「扇子踊り」ができたと伝えられているそうです。
日本各地に扇子踊りは伝承されていますが、1000人以上の踊り子がいっせいに踊る姿を見ることができるのは、この津久見だけかもしれません。
2.加茂 扇子踊り(愛媛県西条市)
愛媛県東部の西条市、その山間部「加茂地区」にも伝統の扇子踊りが継承されています。毎年8月15日の夜に、地元の誓願寺の盆踊り大会で踊られていた踊りです。
この踊りは約420年の歴史を持ち、はじまりは豊臣秀吉の四国征伐までさかのぼります。豊臣勢を迎え打つ長曽我部元親の援軍として土佐から伊予の国に入った伊東近江守祐晴が、訳あってそのまま住みつき誓願寺を建立したと言われています。そして、戦で死んだ人たちへの供養として踊りを奉納したのが始まりだそうです。
この踊りの特徴は、扇子踊りの前に刃踊りを踊ること。昔から、「刃踊り」をまず踊り、次に「扇子踊り」を踊る慣習なのだそうです。
ただ、残念なことに、平成10年まで開催されていた盆踊り大会も、人口減少・過疎化により、現在は開かれていないということです。
3.新野高原盆踊り(長野県阿南町)
長野県阿南町に、国の重要無形民俗文化財である「新野高原盆踊り」が伝承されています。この踊りは神々を供養する盆踊りの原型といわれ、「すくいさ」「高い山」「おさま甚句」「音頭」「十六」「おやま」「能登」の7種類で構成されています。扇子(オリジナル扇子)を手にして踊るのはそのなかの「音頭」「おさま甚句」「すくいさ」「おやま」の4種類です。
通常、盆踊りというと笛や太鼓、三味線などの楽器に合わせて踊りますが、この『新野高原盆踊り』は鳴り物を一切使いません。音頭台の上にいる5、6人の音頭取りの中の皮切りが最初の一句を始めると、それから朝まで唄い踊り続けるそうです。見物人を含めると2000人近くの人が集まる盛大な盆踊りです。





